自分が興味を持った複数の新聞記事を要約して意見を添え、それらを組み合わせて模造紙大のオリジナル新聞を作り、皆の前で発表する、というユニークな授業が昨年末、横浜市立三ツ沢小学校で行われました。授業には保護者も加わって教諭をサポートしたほか、子供の発表にも熱心に聞き入っていました。その模様を紹介します。
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指 導 案 (一部略)
1 単元名 テーマ性のあるオリジナル新聞を作ろう
2 日 時 平成18年12月14日(木)−制 作
平成18年12月22日(金)−発 表
3 学年・組 第5学年1組 計35名(男子18名 女子17名)
4 指導者 八木 松子 教諭
5 単元目標
○新聞からの情報を読み取り、整理・分類して、分かりやすいオリジナル新聞を書こう
としている。 (関心・意欲・態度)
○全体を見通して、書く必要のある事柄を整理して書く。 (書く能力)
○考えが聞き手に伝わるように、構成を工夫して話している。また、話し手が伝えよう
としている趣旨や内容を聞き取っている。 (話す・聞く能力)
〈言語事項〉
・文や文章には、いろいろな構成があることについて理解すること。
【オリジナル新聞の作成】
6 本時の目標 (12/14)
新聞記事からテーマに迫る内容を読み取り、事実や意見、感想をわけて書く。(書く)
7 本時の評価
新聞記事から読み取れる事実や感想、意見などをわけて書いている。
8 本時の計画
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学 習 内 容 と 活 動
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支 援 と 評 価 方 法
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1 学習のめあてを確認する。
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○児童の持ち物
・収集した記事・国語辞典・のり・マーカー・はさみ・台紙等
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テーマにつながる内容を読み取り、事実と感想を書こう。
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2 文例を読み取り、方法をつかむ。
(大集団)
○大切な内容にマーカーをつける。
○協同でオリジナル記事を作る。
3 記事を読み、事実と感想、意見をわけて書く。
(個別)
○新聞記事を読み取り、必要な情報にマーカーをつける。
○新聞記事からわかる事実と感想、意見を段落にわけて書く。
4 オリジナル新聞の割り付けを考え、全体の考察やまとめを書く。
5 本時の学習をふり返り、次時の予定を確認する。
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○事実、意見や感想は100字程度にまとめるようにする。
○段落の指導をする。
※記事を正確に読み取り、簡潔に書いているか。
※事象と意見を区別して段落にわけているか。
※全体をとらえた考察であるか。
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【見学リポート1】
■ウオーミングアップ
教諭は授業の導入部で、「写真の日本兵 誰?」と見出しがついた産経新聞(10月16日付)の記事コピーを児童全員に配布した。児童らは教諭の指導により、記事に書かれている大切な内容にマーカーで線を引き、事実と自分の感想を段落に分けて、120文字の原稿用紙にまとめる“ウオーミングアップ”を実施した。
この際、教諭も自分自身が行った記事要約の見本を示したが、あえて字数をオーバーさせるなどして不完全にしておき、児童の指摘で余分な箇所を削除するなどして、協同で手本を修正する場面も設けた。
■自分が選んだ記事を要約する
続いて児童らは、自分の興味・関心で事前に選んでおいた複数の記事を使い、記事の要点にマーカーで線を引き、事実を要約して意見・感想を付け加え、120文字以内にまとめる作業を行った。サッカー、野球などスポーツの記事や、動物の記事を集めた児童が多かったが、事件事故
や、伝染病などの記事を扱う児童もいた。
この作業を通じて児童らは、事件事故やスポーツの試合結果などの生ニュースは「5W1H」が明瞭で要約し易いが、紙面を大きく割いて掲載されている特集記事や検証記事などは要約が難しいことに自分で気付き、作業がしやすい別の記事にシフトする児童も見られた。
教諭は机間巡視をしながら、作業が一段落した児童の記事要約に目を通し、その完成度合いに応じて、書かれている事実と自分の感想を明確にして段落分けすることや、事実と主観を書く際の配分などについてアドバイスし、要約を仕上げさせた。またこの日は5〜6人の保護者が教諭の補佐として授業に参加し、児童が分からない漢字の読み方や意味などを教えていた。
記事要約は、“教材”として使用した記事と要約文を台紙に張り付けて1つの「ユニット」とし >>ユニットの一例を見る、授業と自宅学習で作り上げた4〜5つのユニットを模造紙(縦位置)に張り合わせて表題を付け、見出しを補足するなどして「オリジナル新聞」を完成させた。
【オリジナル新聞の発表】
9 本時の目標 (1 2/2 2)
考えが聞き手に伝わるように、構成を工夫して話す。また、話し手が伝えようとしている趣旨や内容を聞き取り、感想や意見をもつ。 (話す・聞く)
10 本時の評価
構成を工夫して話しているか。
話し手の意図を理解し、感想や意見をカードに書いているか。
11 本時の計画
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学 習 内 容 と 活 動
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支 援 と 評 価 方 法
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1 学習のめあてを確認する。
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○児童の持ち物
・オリジナル新聞・感想カード
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組み立てを工夫して話そう。
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2 グループに別れて発表会をする。
○発表するとき
・構成を工夫して話す。
・オリジナル新聞を活用する。
○聞き手の視点
・テーマ、収集した記事、考えが一連のものになっているか。
・新聞を活用してわかりやすく話しているか。
グループ、場所を交代して2回目の発表をする。
3 学習のまとめをする。
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○一人3分程度の発表時間とする。
※発表の様子、発表構成メモ、オリジナル新聞の分析
※感想カードの分析
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【見学リポート2】
■ジャンル多彩に成果発表
オリジナル新聞の発表会は、運営を児童に任せて、会場を図書室や会議室など5カ所に分けて行った。児童1人について会場を変えて2回の発表機会が設けられた。最初に失敗しても、2回目に修正することが可能なため、というのが教諭の狙いだった。
前回に続き保護者らも参加して発表を聞いていた。児童1人あたりの発表時間は約3分で、聞いていた児童も意見や感想を述べたほか、「感想カード」に書き留めた。
出来上がったオリジナル新聞はジャンルが多彩だった。スポーツを扱ったものでも、一つのサッカーチームの戦いぶりを時系列で追いかけた新聞もあれば、異種目のスポーツ記事を集めた新聞を作り、「活躍する選手には、コーチなど陰で支える人たちと、他の人以上の練習と努力がある」と共通点を発表した。
猛威を振るっていたノロウイルスを扱った新聞では、感染源や国内で流行した原因、被害実態、地域的な差異、予防法などを多面的にとらえた“特集紙面”となった。
「防ごう!クマの被害を」と題した新聞では、クマが人里に出没してハチミツや食糧を奪う被害が相次ぎ、年間に4700頭が捕獲され、9割が殺処分されている実態を報告。人間生活を守るのか、クマを絶滅から守るのか議論が分かれる中、原因は里山の荒廃によるエサ不足にあると指摘する記事を紹介し、「クマをすぐ射殺するのではなく、ゴミを増やさないといった、人間による原因を改善していかなければいけない」と結んだ。構成力の良さと要点を的確におさえ、制作・発表した児童は、他の児童や保護者から大きな拍手を浴びていた。
【感想】
■狙い的中した2度の発表機会
三ツ沢小では4月から新聞を使った授業を展開しており、オリジナル新聞の制作は「総まとめ」ともいえるもので、事前の積み重ねが無ければできない授業であると感じた。記事を要約する際、マーカーで要点に線を引くことが効果的に行われていた。これを始めたのは一連の授業の後半になってからで、「もう少しこの手法を早く取り入れていれば、学びにより深まりが出たのではないか」と教諭は語っていたが、児童の記事要約は見ていた限り、簡潔・的確に行われていた。単なる記事要約に終始せず、児童の発想を生かして複数のユニットを組み合わせ、オリジナル新聞として仕上げたところが良いと思った。
オリジナル新聞の発表では、記事要約の際には求められなかった「漢字の正しい読み方」が問われることになる。サッカーJリーグ1部の浦和レッズが優勝するまでの軌跡をたどった新聞では、発表した児童が「闘莉王」選手の読み方が分からずに困って黙り込む場面があり、私は近寄って(トゥーリオ…)と小声で助け船を出した。このほか、川崎市の「麻生区」を「あさなまく」と発表している児童もおり、感想カードに「麻生区は『あさおく』と読みます」と書いて渡した。記事の要約文は、発表の前に自分で音読し、読めない漢字にはルビをふるなどの準備が必要に思えた。
発表の際に良いアイデアだと思ったのは、児童に発表の機会を2度与えたことで、1回目に緊張してうまく発表できなかった児童や、漢字の読みが分からなかった児童も、2回目は修正して上手に発表でき、教諭の狙いが的中した。発表そのものは評価外で、出来上がったオリジナル新聞自体を評価の対象とするということだったが、人前に立って発表する機会を与えられた児童らには、貴重な経験になったことと思う。会場が5つに分かれ、教諭の巡視が大変だと感じたが、児童や保護者に「感想カード」を書かせ、その内容を後日分析することで、教諭が直接聞けなかった発表の大まかな様子も分かり、良い工夫だったと思う。
■保護者参加は家庭・地域NIEの第一歩
オリジナル新聞の制作と発表では、保護者らも教諭の補佐役に加え、発表を聞くため授業に参加していた。新聞制作の際には、漢字の読み方や言葉の意味を教えたり、どの記事を組み合わせるかアドバイスをしたりしていた。
発表の際には、児童らの懸命な発表に拍手を送り、感想カードで努力をねぎらい、緊張している児童には、自分もハラハラしているような表情で発表を見守っていた。
参加したある母親は、「これまで家庭内では新聞を漠然と読んでいたが、新聞を使った授業が学校で行われたことがきっかけで、わが子の意外な興味・関心を発見したり、新聞記事を話題にして家庭内で会話をする機会も持てた」という。
昨年のNIE全国大会(茨城県水戸市)では、NIEの輪を学校から家庭、地域へと広げていくことが提唱されたが、今回の授業でも「家庭NIE」「地域NIE」の第一歩を見た気がした。心に残る授業見学だった。
(推進協事務局 菱倉昌二)