公開セミナー「東日本大震災報道とNIE」を開催

2011年11月14日

多数の犠牲者を出した震災を子どもたちにどう伝えるかを考える「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)公開セミナー」(県NIE推進協議会主催)が12日、横浜市中区の関東学院大KGU関内メディアセンターで開かれた。協議会加盟8社の新聞記者による震災取材報告や、特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーの3人と記者によるパネルディスカッションが行われ、約60人が参加した。

高木まさき協議会会長の司会で進行。第1部「何を伝え、伝えられなかったか」では、福島県や岩手県などの被災地で各記者が行った取材について報告。埋もれている被害者や遺体を傷つけないよう作業するため、はかどらないガレキの撤去、被災を機に漁業をあきらめた高齢漁師、遺影を見るたびに「学校に迎えに行ってやれていれば娘を失うことが無かった」と涙する女性、被ばくを懸念し人工中絶を考える女性が増えている実情、自家用車を売却して費用を確保し海外から参加したボランティア、茨城県の学校の倒壊率が高かった背景に市町村合併があったこと-などが紹介された。

記者たちは、死者やガレキの量など数字だけでは伝えきれないことについて言及。「何時間でも話ができるほど取材している。あの人のことも書きたい、このことも書きたいと思うが、紙面のスペースも限られているし、読んでいただく読者の時間にも限りがある。記者も泣きながら削って書いている」「100%伝えきれたか、というとそうではないかもしれない。ただ、記事は読み手がいて成立する。読者の想像力、共感力を引き出せる記事を書きたいと思っている」と話した。さらに、「災害を自分のこととして考え、地震や津波に強い地域づくりに役立ててほしい」と呼びかけていた。

 

第2部「震災を教室でどう伝える」は、有馬進一・藤沢市立大庭中学校中学校総括教諭、深沢恵子・横浜市立本町小学校教諭、梅田比奈子・横浜市教育委員会主任指導主事の3人の特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーが、記者4人とディスカッション。震災直後の悲惨な記事が紙面を埋める中、子どもたちのショックを考慮して授業での扱いをアドバイザー自身が躊躇したことなどに触れながらNIE実践例を報告。教科書に「漁業日本一」と書かれている気仙沼の現状を取材しに行ったり、ボランティアに参加したりしたことを説明しながら「たくさんの情報がある中で、何を選んで伝えるか。記者にも責任があるが、私達教師にも責任がある。生徒たちと一緒に考えていきたい」と話していた。

会場からの意見を求めながら、アドバイザーや記者たちは「震災への関心が失われないよう、記事を通じて子どもたちにメッセージを発信してほしい」「ストレートニュースだけでなく連載記事もNIEに利用を」などと意見を交換していた。

参加記者は次の通り(敬称略)。

・朝日新聞社横浜総局次長     池田 孝昭

・毎日新聞社横浜支局記者     松倉 佑輔

・読売新聞社横浜支局遊軍担当記者 市川 憲司

・日本経済新聞社社会部記者    森田 淳嗣

・東京新聞 横浜支局記者      志村 彰太

・神奈川新聞社報道部記者     戸田 貴也

・共同通信社横浜支局記者         建部 佑介

・時事通信社横浜総局記者         長橋 伸知

 

公開セミナー「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)」=11月12日・関東学院大KGU関内メディアセンター

第14回神奈川NIEミーティング報告

2011年10月22日

第14回神奈川NIEミーティングが21日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)で開かれ、NIE実践教師、新聞関係者など17人が参加。県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で、横浜市立戸部小学校の小水亮子教諭と鎌倉市立玉縄中学校の弓予姿子教諭の実践報告などが行われた。

■新聞発行費用に広告のプレゼン

戸部小学校の小水教諭は4年生の授業で新聞を活用。「戸部の街の人を笑顔に」するには「何をすればいいか」を議論。児童の1人が、日本新聞博物館の体験コーナーで作った新聞を見て「新聞を作りたい」とクラスが一致。新聞の構成や記事の書き方、見出しの重要性などを学んだ。

500部の新聞を発行するには、どのくらいの費用がかかるか調べるため、子ども達が街の印刷所を回った。約4万円かかることを知るとその費用の捻出方法を議論。フリーペーパーが広告費で発行費用を賄っていることを知り、地元商店街の会長に広告掲載を要望。現在、広告受注に向け、商店街加盟の17店の広告をデザインしている最中という。

小水教諭は「お店の方には、子ども達が作った広告の採否について率直に言ってほしいと言ってあります。子ども達はお店への責任、情報を発信することの責任も感じながら必死に頑張っています。表情はとてもいきいきしています」と報告した。


■職業体験学習で新聞記事を活用

玉縄中学校の弓教諭は1年生206人の「総合的な学習の時間」で新聞を活用。職業について調べるよう宿題を出すと、たいてい子ども達は自宅にいる職業人に話を聞き、街へは出ないといい、視野が広がらない。そこで夏休み中、新聞の中から職業や生き方で印象に残った人物の記事を選んで切り抜き、感想を書いて、さらにグループで意見を述べ合うことを提案。

子ども達に毎日新聞に目を通すきっかけをつくり、社会で活躍している人物を通して生き方や職業に対する関心を高め、さらに自分の考えをまとめて人に伝える力を養うのが狙い。子ども達は、政治家や芸能人、海外で活躍する人、震災の救助などで活躍した人などの記事をスクラップ。中には、暴力団との交際で引退した島田紳助さんの記事もあったという。

さらに、各クラスで4人グループで感想をカードに書きあうなどして学習。成果は、文化祭で発表した。子ども達からは「生まれて初めて新聞を隅から隅まで目を通した」「こんな事件があったことを活字で知った」「短い記事の中に、いろいろなことが凝縮されていることが分かった」などの感想があり、好評だったという。

■今朝の新聞から

NIEミーティングでは、朝日、毎日、読売、産経、東京、日経、神奈川新聞の朝刊の読み比べも行われたが、リビアの「カダフィ大佐死亡」を各紙とも1面で扱い、6紙がトップだった。見出しやカダフィ大佐の写真の扱いなどについて意見を交換した。

実践校からはほかに平塚市立横内小学校、逗子市立沼間小学校、藤沢市立明治小学校、県立愛川高校、それに元実践校の横須賀学院からの参加があった。

次回の神奈川NIEミーティングは12月16日に開催予定。

11月12日に公開セミナー「東日本大震災報道とNIE」

2011年10月22日

神奈川県NIE(教育に新聞を)推進協議会(会長・高木まさき横浜国大教授)は11月12日午後2時から、NIE公開セミナー「東日本大震災報道とNIE」を横浜市中区太田町の関東学院大KGU関内メディアセンターで開きます。

日本新聞協会が運動を広くPRするNIE月間(11月)の一環。セミナーでは、推進協議会加盟の報道機関(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞、日経新聞、共同通信、時事通信、神奈川新聞)から、震災報道などに携わった記者8人が「何を伝え、伝え切れられなかったか」などを報告。第2部では、経験豊かなNIEアドバイザー・特別アドバイザーの3人の先生も加わり、教室で震災をどう伝えたかなどを語ってもらい、震災が今後の教育や社会へ与える影響などを考えながら、子どもたちにどう伝えていくかを考える。

多数の報道機関の記者が震災についてリポート、情報交換する機会はあまりなく貴重な経験となるため、多くの方に参加していただきたいと思っています。

事前応募制で締め切りは11月2日(必着)。

NIE公開セミナー「東日本大震災報道とNIE」

日 時】 11月12日(土)午後2時~午後4時40分

場 所】 関東学院大KGU関内メディアセンター

(横浜市中区太田町2-23、横浜メディア・ビジネスセンター8階)

※当日は通用口からの出入りになります。

内 容】

第1部 震災取材の報告「何を伝え、伝えられなかったか」 (午後2時から3時半)

パネリスト 朝日、毎日、読売、東京、日経、共同、時事、神奈川の報道8社記者

コーディネーター 県NIE推進協議会会長 高木まさき横浜国大教授

第2部 パネルディスカッション「震災を教室でどう伝える」 (午後3時40分から4時40分)

パネリスト NIEアドバイザー・特別アドバイザー

・有馬進一氏(藤沢市立大庭中学校総括教諭)

・梅田比奈子氏(横浜市教育委員会事務局人権教育・児童生徒課主任指導主事)

・深沢恵子氏(横浜市立本町小学校教諭)

・記者

コーディネーター 県NIE推進協議会会長 高木まさき横浜国大教授

※  講師は変更となることがあります。

【参 加】 無料で特に資格などは問わないが事前応募制(教室が120人までなので、ご入場いただけない場合のみ、その方に主催者から連絡します)。

応募方法は、はがきかファクスで、住所、氏名、年齢、所属(学校・団体)名、電話番号を明記のうえ、郵便番号231-8445(住所不要)神奈川新聞社読者広報センター内、県NIE推進協議会事務局、ファクス045(227)0095。問い合わせは、同事務局 電話045(227)0080。

第13回神奈川NIEミーティング報告

2011年9月17日

第13回神奈川NIEミーティングが16日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)でNIE実践教師、新聞関係者など19人が集まり、県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で開かれ、NIE全国大会・青森大会(日本新聞協会主催)や清里フォーラム(日本NIE研究会主催)の報告などが行われた。

全国大会(7月25・26日、青森)については、NIEアドバイザーの村山正子教諭(鵜野森中学校)や望月正浩教諭(有馬高校)が報告。新聞広告の活用について「ACジャパン(旧公共広告機構)なら安心して使えるとしたら、他の先生から、AC以外にも安心して使えるものがあるとの話が出た」。向上高校の新聞部が被災地を訪問したりして学校新聞を作っている活動の発表があったことや、大会前日のアドバイザー会議で「汚染物資が海外に運ばれるなど環境関連の記事で、教材をつくるワークショップがあり、密度が濃かった」と紹介された。

清里フォーラム(8月1・2日)については、特別アドバイザーの有馬進一総括教諭(大庭中学校)が歴史や趣旨などを報告した。

参加者の「最近、気になった記事」についての発表では、鉢呂前経産相の「放射能」発言について「政治への不信が高まり、さらにメディアに対する不信も出てきている。記者がどういう質問をするか、が注目されていてメディアのあり方が問われている」などの意見。影山清四郎顧問(横浜国大名誉教授)は、この発言がニュースになるまでに「新聞の迷いを感じた」と話していた。アドバイザーの梅田比奈子指導主事(横浜市教委)は、夏休み中に被災地を取材したこともあり、震災直後に記事で取りあげられていた子どもたちのその後の報道が印象に残ったと話していた。

赤池幹日本新聞協会コーディネーターは「日本の教育予算が、OECDで最低だったとの記事の扱いが各社とも小さすぎる。それに対する提言の記事が出ていないことにも不満を感じる。また、最近、遊び心のある見出しが減っている。一人組み版などで整理部記者の余裕もなくなっているのだろう」と評していた。

高木会長は「OECD生徒の学習到達度調査で2009年、初めてデジタル読解力調査が行われた。教科書に電子書籍が使われるようになるなど、今後の教育に影響が出るかもしれないので注視したい。電子新聞を購読したが、やはり紙の新聞は紙を広げたときのよさがある」などと話していた。

実践校などでは、川崎市立南菅小学校、横須賀市立鶴久保小学校、県立愛川高校、聖ヨゼフ学園の小学校、中学・高校から参加があった。

次回は10月21日に開催予定。

新規実践校ガイダンスに9校、アドバイザーから指導法など伝授

2011年8月24日

県NIE推進協議会(高木まさき会長)は23日、2011年度NIE新規実践指定校向けのガイダンスを横浜市中区の神奈川新聞社大会議室で開き、9校が参加した。

実践指定校は本年度、新聞を授業に活用する。県内20の指定校のうち新規12校を対象に、経験豊かなNIEの特別アドバイザーの臼井淑子教諭(横須賀市立田戸小)、アドバイザーの村山正子教諭(相模原市立鵜野森中)、望月浩明教諭(県立有馬高)が指導法や活用法を伝授。「8月6日の広島と宮城の新聞の1面というように新聞を見比べるのも勉強になる」「写真だけを使って、どういう場面か生徒に考えてもらってもいい」「授業中の写真をなるべく撮影しておくと実践報告書を作るのが楽になる」などとアドバイスしていた。

参加した9校は、川崎市立南菅小学校、横浜市立保土ヶ谷小学校、横浜市立霧が丘小中学校、横浜市立すすき野中学校、横須賀市立小原台小学校、逗子市立沼間小学校
、鎌倉市立玉縄中学校、平塚市立横内小学校、平塚市立花水小学校。

(2011年度NIE新規実践指定校向けに行われたガイダンス)