‘神奈川NIEミーティング’ カテゴリーのアーカイブ

第16回神奈川NIEミーティング報告

2012年2月18日 土曜日

第16回神奈川NIEミーティングが17日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)で開かれ、NIE実践教師、新聞関係者など16人が参加した。県NIE推進協議会顧問の影山清四郎・横浜国大名誉教授の司会で、平塚市立横内小学校の小瀬村良美美教諭と聖ヨゼフ学園小学校の石丸紀善教諭の東日本大震災などを取り上げた実践報告が行われた。

横内小の小瀬村教諭は「新聞を活用したコミュニケーション能力の育成」をテーマに報告。6年生を対象に「持続可能で安心な未来へ~東日本大震災」の単元で、子どもたちは震災関連の新聞記事を読んだり、収集したりして、意見をまとめて発表。「自分たちも何かしたい」とボランティアなどに興味を覚え、今後、地域の公民館祭りに参加して被災地のためにフリーマーケットや募金活動を予定しているという。

 

小瀬村教諭は、「子どもたちはNIEを通して『情報を知ることの大切さ』を知った。また、震災について考えるうちに、家庭でのコミュニケーションも活発になったようです」と話していた。同教諭はフランスの図書館の視察報告も行い、「現地の『プレス週間』という期間には、中学生が午後11時に新聞社に集合して朝まで新聞のできるまでの過程を見学するという活動も行っている」と紹介した。

 

聖ヨゼフ学園小の石丸教諭は、社会科専科の教諭として取り組んだ「新聞学習を通して東日本大震災を考える」について報告。情報単元の授業で、お気に入りの記事探しや選んだ記事の都道府県について知っていることを話し合ったり、震災記事についてのワークシートなどで学習。校外学習で訪れた日本新聞博物館のレクチャーの中で石巻日日新聞の話(震災被害で新聞が発行できなくなったため、手書きの壁新聞を作って張り出した)が出たため、石丸教諭は同新聞社の近江社長に取材して聞いた話しを子どもたちに伝えるなどもしたという。

 

石丸教諭は震災直後、震災について「授業で絶対に取りあげなければならない」と思いつつも、「自分自身が受け止め切れないことを子どもたちにどう伝えるか」で悩んだという。他校の教諭の実践報告を聞いたり、仙台や石巻市、南三陸町を訪れるなどして気持ちを整理して始めたと言う。

 

この日参加したのは聖ヨゼフ小、横内小のほか、南菅小、鵜野森中、聖ヨゼフ学園中学・高校、横須賀学院高校、有馬高校の教諭ら16人。

 

◇ ◇ ◇

 

影山顧問から、NIEアドバイザーの黒尾敏・川崎市立川崎中学校教頭が1月9日に急逝されたことが報告され、哀悼の意が表されたほか、NIE推進協事務局から2012年度の実践校の募集や2011年度の実践報告書の原稿などについての事務連絡が行われた。

第15回神奈川NIEミーティング報告

2011年12月17日 土曜日

 

第15回神奈川NIEミーティングが16日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)で開かれ、NIE実践教師、新聞関係者など18人が参加。県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で、横浜市立日下小学校の香川由美教諭と県立三浦臨海高校の金子幹夫総括教諭の実践報告が行われた。横浜市立霧が丘小中学校(小学校)の廣田晃士教諭も震災報道をテーマに進めている総合学習の経過や今後の展開について報告していた。

新聞づくりで要約・引用する力養う

日下小学校では、廊下に新聞コーナーを設置し、児童が当番でNIE実践校用に配達される新聞を置く。新聞係の児童がおもしろい記事を紹介したり、4コマ漫画を並べ替えてクイズを作ったりしている。香川教諭は4年生に、新聞に何が書いてあるかを探す「記事たんけん」や、記事がどこから始まり、どこで終わるかを探すなどの学習を実践。子どもたちは新聞には、占いや人生相談、首相動向などさまざまな情報が書かれていることに気づき、「これまで新聞といえば習字で下に敷く程度だった子どもたちが、中身に興味を持つようになった」(香川教諭)という。

国語の学習として、一つ下の3年生に体験学習の楽しさを伝えようと新聞づくりを開始。科学読み物「ウナギのなぞを追って」などを説明する読書新聞づくりも提案し、子どもたちに文章の要約や引用する力を養ってもらっているという。見出し(18字以内)やリード(60字以内)、トップ記事(300字程度)などを記入する、新聞を模した独自のワークシートには「記者の目」(120字以内)などもつけた。

 

ゲーム的要素取り入れ知識量をアップ

三浦臨海高校の金子教諭は公民科で実践。新聞を使った授業を始める前に170人の生徒の教科への関心や知識をアンケート調査。知識は少ないが、関心はあったり、なかったりする生徒が多数を占めていた。これを「全部の生徒が関心も知識も高くなるようにする」との目標を立て、ゲーム的な要素を取り入れた学習法の「アニマシオン」を取り入れた。

震災関連記事のスクラップとそれを写した文書の間違い探しからスタート。記事を読んで「タイトルをつけよう」などの授業も行った。実践前に生徒9割は、新聞が「好きでも嫌いでもない」か「嫌い」だったが、7割の生徒が新聞を読むようになり、家庭で新聞を取っていない生徒は図書室やアルバイト先で読むまでになったという。

ミーティングには、川崎市立南菅小学校や県立愛川高校、横須賀学院、聖ヨゼフ学園小学校、同中学・高校などからの参加があった。

 

次回の神奈川NIEミーティングは2月17日に開催予定。

第14回神奈川NIEミーティング報告

2011年10月22日 土曜日

第14回神奈川NIEミーティングが21日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)で開かれ、NIE実践教師、新聞関係者など17人が参加。県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で、横浜市立戸部小学校の小水亮子教諭と鎌倉市立玉縄中学校の弓予姿子教諭の実践報告などが行われた。

■新聞発行費用に広告のプレゼン

戸部小学校の小水教諭は4年生の授業で新聞を活用。「戸部の街の人を笑顔に」するには「何をすればいいか」を議論。児童の1人が、日本新聞博物館の体験コーナーで作った新聞を見て「新聞を作りたい」とクラスが一致。新聞の構成や記事の書き方、見出しの重要性などを学んだ。

500部の新聞を発行するには、どのくらいの費用がかかるか調べるため、子ども達が街の印刷所を回った。約4万円かかることを知るとその費用の捻出方法を議論。フリーペーパーが広告費で発行費用を賄っていることを知り、地元商店街の会長に広告掲載を要望。現在、広告受注に向け、商店街加盟の17店の広告をデザインしている最中という。

小水教諭は「お店の方には、子ども達が作った広告の採否について率直に言ってほしいと言ってあります。子ども達はお店への責任、情報を発信することの責任も感じながら必死に頑張っています。表情はとてもいきいきしています」と報告した。


■職業体験学習で新聞記事を活用

玉縄中学校の弓教諭は1年生206人の「総合的な学習の時間」で新聞を活用。職業について調べるよう宿題を出すと、たいてい子ども達は自宅にいる職業人に話を聞き、街へは出ないといい、視野が広がらない。そこで夏休み中、新聞の中から職業や生き方で印象に残った人物の記事を選んで切り抜き、感想を書いて、さらにグループで意見を述べ合うことを提案。

子ども達に毎日新聞に目を通すきっかけをつくり、社会で活躍している人物を通して生き方や職業に対する関心を高め、さらに自分の考えをまとめて人に伝える力を養うのが狙い。子ども達は、政治家や芸能人、海外で活躍する人、震災の救助などで活躍した人などの記事をスクラップ。中には、暴力団との交際で引退した島田紳助さんの記事もあったという。

さらに、各クラスで4人グループで感想をカードに書きあうなどして学習。成果は、文化祭で発表した。子ども達からは「生まれて初めて新聞を隅から隅まで目を通した」「こんな事件があったことを活字で知った」「短い記事の中に、いろいろなことが凝縮されていることが分かった」などの感想があり、好評だったという。

■今朝の新聞から

NIEミーティングでは、朝日、毎日、読売、産経、東京、日経、神奈川新聞の朝刊の読み比べも行われたが、リビアの「カダフィ大佐死亡」を各紙とも1面で扱い、6紙がトップだった。見出しやカダフィ大佐の写真の扱いなどについて意見を交換した。

実践校からはほかに平塚市立横内小学校、逗子市立沼間小学校、藤沢市立明治小学校、県立愛川高校、それに元実践校の横須賀学院からの参加があった。

次回の神奈川NIEミーティングは12月16日に開催予定。

第13回神奈川NIEミーティング報告

2011年9月17日 土曜日

第13回神奈川NIEミーティングが16日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)でNIE実践教師、新聞関係者など19人が集まり、県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で開かれ、NIE全国大会・青森大会(日本新聞協会主催)や清里フォーラム(日本NIE研究会主催)の報告などが行われた。

全国大会(7月25・26日、青森)については、NIEアドバイザーの村山正子教諭(鵜野森中学校)や望月正浩教諭(有馬高校)が報告。新聞広告の活用について「ACジャパン(旧公共広告機構)なら安心して使えるとしたら、他の先生から、AC以外にも安心して使えるものがあるとの話が出た」。向上高校の新聞部が被災地を訪問したりして学校新聞を作っている活動の発表があったことや、大会前日のアドバイザー会議で「汚染物資が海外に運ばれるなど環境関連の記事で、教材をつくるワークショップがあり、密度が濃かった」と紹介された。

清里フォーラム(8月1・2日)については、特別アドバイザーの有馬進一総括教諭(大庭中学校)が歴史や趣旨などを報告した。

参加者の「最近、気になった記事」についての発表では、鉢呂前経産相の「放射能」発言について「政治への不信が高まり、さらにメディアに対する不信も出てきている。記者がどういう質問をするか、が注目されていてメディアのあり方が問われている」などの意見。影山清四郎顧問(横浜国大名誉教授)は、この発言がニュースになるまでに「新聞の迷いを感じた」と話していた。アドバイザーの梅田比奈子指導主事(横浜市教委)は、夏休み中に被災地を取材したこともあり、震災直後に記事で取りあげられていた子どもたちのその後の報道が印象に残ったと話していた。

赤池幹日本新聞協会コーディネーターは「日本の教育予算が、OECDで最低だったとの記事の扱いが各社とも小さすぎる。それに対する提言の記事が出ていないことにも不満を感じる。また、最近、遊び心のある見出しが減っている。一人組み版などで整理部記者の余裕もなくなっているのだろう」と評していた。

高木会長は「OECD生徒の学習到達度調査で2009年、初めてデジタル読解力調査が行われた。教科書に電子書籍が使われるようになるなど、今後の教育に影響が出るかもしれないので注視したい。電子新聞を購読したが、やはり紙の新聞は紙を広げたときのよさがある」などと話していた。

実践校などでは、川崎市立南菅小学校、横須賀市立鶴久保小学校、県立愛川高校、聖ヨゼフ学園の小学校、中学・高校から参加があった。

次回は10月21日に開催予定。

第11回 神奈川NIEミーティング報告

2011年5月6日 金曜日

第11回神奈川NIEミーティングが4月15日、横浜市中区のNIE全国センターでNIE実践教師、新聞関係者等15人が集まり、高木まさき・横浜国大教授(県NIE推進協議会会長)の司会で開かれた。今年度最初のミーティングは、東日本大震災直後ということで、赤池幹氏(日本新聞協会・NIEコーディネーター)による各社震災報道の分析を聞く機会とした。

赤池氏分析要旨 今回の大震災では、各新聞1面に2段高・横見出し(べた黒・白抜き、ハチマキ見出し)がほぼ1週間続いたことが印象的である。それだけ大変な災害であることを新聞は伝えているし、現実に歴史的な災害である。

12日=テレビ面が中面に行き、しかも空白が多くある。広告の無い紙面。ページ数の減少。という異例の事態。大事件大事故の見出しは普通一致するが、今回はバラバラである。つまり、この震災をどう捉えるかが各紙違ったのである。東北で、東日本で、西日本で・・・地域によって異なる。福島原発を1面に取り上げたかで、原発事故への各社の価値判断が見える。整理部の判断は編集・取材部門のアピール度で左右される。

12日夕刊=各社バラバラの見出しに各社の混乱が見える。この時点で犠牲者数(死者数)を出す判断はどうであったか。今となっては、数字は意味がないと言える。

13日=足並みが揃ってくる。被災地から原発にシフトしてくる。原発により、被災地取材ができなくなる。だれを信用したらよいか。アメリカの方が情報を得ているということもある。テレビはその日その日のことを伝えるが、それは疑心暗鬼を生む結果ともなった。河北新報はシステムダウンしても新聞発行し、避難所に配った。新聞社は号数を途切れさせないこと、つまり歴史に拘泥する。

多くの人が元の場所に戻りたいと言っている。困っている人に私たちができることを話し合うことが大切である。阪神淡路大震災でこう教えた、ということが今生かされるのではないか。風評被害や埋立地の液状化、教科書題材の検討など、今回の震災の影響・課題は大きい。実際これからのことがよく分かっていない。6月末をめどに『震災報道をどう授業するか』というガイドブックを作成し、7月に行われる青森での全国大会へもっていきたいと考えている。

今回は、現時点での震災報道分析を聞く機会を得たが、今後も震災報道が継続していくことも考えると、「震災報道をどのように授業するか」が今年度の課題となることが予想される。今後、取り組みを報告しあうことを一同確認した。

次回のミーティングは6月17日(金)午後6時半からNIE全国センターで。NIEに関心をもたれた先生方もお気軽に参加を!