多数の犠牲者を出した震災を子どもたちにどう伝えるかを考える「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)公開セミナー」(県NIE推進協議会主催)が12日、横浜市中区の関東学院大KGU関内メディアセンターで開かれた。協議会加盟8社の新聞記者による震災取材報告や、特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーの3人と記者によるパネルディスカッションが行われ、約60人が参加した。
高木まさき協議会会長の司会で進行。第1部「何を伝え、伝えられなかったか」では、福島県や岩手県などの被災地で各記者が行った取材について報告。埋もれている被害者や遺体を傷つけないよう作業するため、はかどらないガレキの撤去、被災を機に漁業をあきらめた高齢漁師、遺影を見るたびに「学校に迎えに行ってやれていれば娘を失うことが無かった」と涙する女性、被ばくを懸念し人工中絶を考える女性が増えている実情、自家用車を売却して費用を確保し海外から参加したボランティア、茨城県の学校の倒壊率が高かった背景に市町村合併があったこと-などが紹介された。
記者たちは、死者やガレキの量など数字だけでは伝えきれないことについて言及。「何時間でも話ができるほど取材している。あの人のことも書きたい、このことも書きたいと思うが、紙面のスペースも限られているし、読んでいただく読者の時間にも限りがある。記者も泣きながら削って書いている」「100%伝えきれたか、というとそうではないかもしれない。ただ、記事は読み手がいて成立する。読者の想像力、共感力を引き出せる記事を書きたいと思っている」と話した。さらに、「災害を自分のこととして考え、地震や津波に強い地域づくりに役立ててほしい」と呼びかけていた。
第2部「震災を教室でどう伝える」は、有馬進一・藤沢市立大庭中学校中学校総括教諭、深沢恵子・横浜市立本町小学校教諭、梅田比奈子・横浜市教育委員会主任指導主事の3人の特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーが、記者4人とディスカッション。震災直後の悲惨な記事が紙面を埋める中、子どもたちのショックを考慮して授業での扱いをアドバイザー自身が躊躇したことなどに触れながらNIE実践例を報告。教科書に「漁業日本一」と書かれている気仙沼の現状を取材しに行ったり、ボランティアに参加したりしたことを説明しながら「たくさんの情報がある中で、何を選んで伝えるか。記者にも責任があるが、私達教師にも責任がある。生徒たちと一緒に考えていきたい」と話していた。
会場からの意見を求めながら、アドバイザーや記者たちは「震災への関心が失われないよう、記事を通じて子どもたちにメッセージを発信してほしい」「ストレートニュースだけでなく連載記事もNIEに利用を」などと意見を交換していた。
参加記者は次の通り(敬称略)。
・朝日新聞社横浜総局次長 池田 孝昭
・毎日新聞社横浜支局記者 松倉 佑輔
・読売新聞社横浜支局遊軍担当記者 市川 憲司
・日本経済新聞社社会部記者 森田 淳嗣
・東京新聞 横浜支局記者 志村 彰太
・神奈川新聞社報道部記者 戸田 貴也
・共同通信社横浜支局記者 建部 佑介
・時事通信社横浜総局記者 長橋 伸知
公開セミナー「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)」=11月12日・関東学院大KGU関内メディアセンター





