第15回神奈川NIEミーティング報告

2011年12月17日

 

第15回神奈川NIEミーティングが16日、横浜市中区のNIE全国センター(日本新聞博物館3階)で開かれ、NIE実践教師、新聞関係者など18人が参加。県NIE推進協議会会長の高木まさき・横浜国大教授の司会で、横浜市立日下小学校の香川由美教諭と県立三浦臨海高校の金子幹夫総括教諭の実践報告が行われた。横浜市立霧が丘小中学校(小学校)の廣田晃士教諭も震災報道をテーマに進めている総合学習の経過や今後の展開について報告していた。

新聞づくりで要約・引用する力養う

日下小学校では、廊下に新聞コーナーを設置し、児童が当番でNIE実践校用に配達される新聞を置く。新聞係の児童がおもしろい記事を紹介したり、4コマ漫画を並べ替えてクイズを作ったりしている。香川教諭は4年生に、新聞に何が書いてあるかを探す「記事たんけん」や、記事がどこから始まり、どこで終わるかを探すなどの学習を実践。子どもたちは新聞には、占いや人生相談、首相動向などさまざまな情報が書かれていることに気づき、「これまで新聞といえば習字で下に敷く程度だった子どもたちが、中身に興味を持つようになった」(香川教諭)という。

国語の学習として、一つ下の3年生に体験学習の楽しさを伝えようと新聞づくりを開始。科学読み物「ウナギのなぞを追って」などを説明する読書新聞づくりも提案し、子どもたちに文章の要約や引用する力を養ってもらっているという。見出し(18字以内)やリード(60字以内)、トップ記事(300字程度)などを記入する、新聞を模した独自のワークシートには「記者の目」(120字以内)などもつけた。

 

ゲーム的要素取り入れ知識量をアップ

三浦臨海高校の金子教諭は公民科で実践。新聞を使った授業を始める前に170人の生徒の教科への関心や知識をアンケート調査。知識は少ないが、関心はあったり、なかったりする生徒が多数を占めていた。これを「全部の生徒が関心も知識も高くなるようにする」との目標を立て、ゲーム的な要素を取り入れた学習法の「アニマシオン」を取り入れた。

震災関連記事のスクラップとそれを写した文書の間違い探しからスタート。記事を読んで「タイトルをつけよう」などの授業も行った。実践前に生徒9割は、新聞が「好きでも嫌いでもない」か「嫌い」だったが、7割の生徒が新聞を読むようになり、家庭で新聞を取っていない生徒は図書室やアルバイト先で読むまでになったという。

ミーティングには、川崎市立南菅小学校や県立愛川高校、横須賀学院、聖ヨゼフ学園小学校、同中学・高校などからの参加があった。

 

次回の神奈川NIEミーティングは2月17日に開催予定。

教育委員会へNIE活動への協力要請

2011年12月16日

日本新聞協会博物館・NIE委員会は各都道府県教委などにNIE活動への協力要請を行っています。神奈川県教育委員会と横浜市教育委員会、川崎市教育委員会に対しては、神奈川県NIE推進協議会を通して12月12、13、14日に行いました。

要請内容は、(1)教員向け研修プログラムへの新聞教育導入(2)新聞教育活動・研究会の公務扱い(3)学校図書館への新聞配置の促進-の3点。

第2回いっしょに読もう!新聞コンクール表彰式

2011年11月26日

  

家族や友人と一緒に新聞を読み、感想や意見などを書いて応募する第2回「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)の表彰式が26日、横浜市中区日本大通の日本新聞博物館で開かれた。受賞者らは「地域とともに歩みたい新聞人の気持ちを、若々しい感性で切り取ってくれた」と称えられていた。

 

 

表彰されたのは、最優秀賞・小学生部門の佐藤丞さん(新潟市立女池小学校4年)、同・中学生部門の永野綺咲さん(仙台市立折立中学校3年)、同・高校生部門の内田絢子さん(東京女子学園高校2年)の3人。それに審査員特別賞の種市昇悟さん(岩手県洋野町立種市中学校1年)。
今年のコンクールには、全国や海外から昨年の倍を超す計2万3298点(小学生4070点、中学生1万1770点、高校生7458点)の応募があった。表彰式で賞状や記念盾が贈られ、影山清四郎審査委員長が「今年は震災やそれを契機に起きたことについての作品が多かった。家族や地域の絆、日本が抱えている問題ついて自分のこととして考えてくれた」と講評。執筆記者との対話も行われ、「言いたかったことを読み取ってくれた。記者冥利に尽きる」と褒められていた。4人は新聞博物館や神奈川新聞社を見学し、新聞についての理解を深めた。

  

佐藤さんの作品は、読売新聞の記事「節電 暗い街に星輝く」(8月10日付)が題材。宮城県で被災した祖父が停電で真っ暗な中、「不安な気持ちで空を見上げたら満天の星空だった」と話してくれ、「これからはもっと節電して、いつかおじいちゃんとお母さんが見た満天の星空が見られる日本になってくれることを願ってます」とした。素直さに審査員は心を打たれ、受信力や表現の高さ、考察力などが評価された。

 

  

 

永野さんの作品は、河北新報の記事「食料配給 見直し苦慮」(8月4日付)から。震災で家が崩壊し、受験生などの兄弟と暮らす永野さんは「自立が健全なのは分かっています。でも、もっと心を寄せて支援しなければ沿岸部の被災者は希望を見出す事が出来ないと思います」とまとめた。家族の現状と未来を他の被災者と重ね合わせる想像力の豊かさや、記事を読み込んだうえでの優れた意見が評価された。

 

  

 

内田さんの作品は、朝日新聞の記事「15歳未満初の脳死移植 コーディネーター明かす」(4月24日付)から。記事の「手術の成功を祈り家族全員で祈った折り鶴」は、「少年を亡くした『悲しみ』と、少年が新たに別の人の中で生き続けるという『希望』の象徴なのだ」と読み込んだ。さらにドナーカードに興味を持ち、日本臓器移植ネットワークに問い合わせるなどした。問題意識と考察の深さなどが評価された。

 

  

 

種市さんの作品は、毎日新聞の記事「3・11それから ドキュメントにっぽんの絆 父とも家とも別れ」(9月4日付)から。岩手県で父親を亡くし、家も失い再出発する家族の絆を取り上げた記事に感動し、人は大切なものを失っても、また絆を見いだし、出発することができると記事を読み深めたことなどが評価された。

県内から4人が奨励賞 / いっしょに読もう新聞!コンクール

2011年11月26日

日本新聞協会は26日付で第2回「いっしょに読もう新聞!コンクール」の入選作を発表した。

最優秀賞には佐藤丞さん(小学生部門、新潟市)と永野綺咲さん(中学生同、仙台市)、内田絢子さん(高校生同、東京都)の3人、審査員特別賞には種市昇悟さん(中学生、岩手県)が決まった。記事を素直に読み、自分なりに考察して問題意識を持った点などが評価された。
県内からは奨励賞に中村幸世さん(横浜市立並木中央小)と奥原幸絵さん(相模原市立大野台中)、斎藤千夏さん(県立横須賀高)、久保晴奈さん(カリタス女子高)が選ばれた。
家族や友達と一緒に新聞を読み、感想や意見を書いて記事と共に応募するもので、全国や海外から計2万3298点の応募があった。県内からは昨年(343点)の倍を超す702点が寄せられ、46%は震災関連の記事からだった。

 

受賞者一覧は新聞協会のNIEのホームページ

公開セミナー「東日本大震災報道とNIE」を開催

2011年11月14日

多数の犠牲者を出した震災を子どもたちにどう伝えるかを考える「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)公開セミナー」(県NIE推進協議会主催)が12日、横浜市中区の関東学院大KGU関内メディアセンターで開かれた。協議会加盟8社の新聞記者による震災取材報告や、特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーの3人と記者によるパネルディスカッションが行われ、約60人が参加した。

高木まさき協議会会長の司会で進行。第1部「何を伝え、伝えられなかったか」では、福島県や岩手県などの被災地で各記者が行った取材について報告。埋もれている被害者や遺体を傷つけないよう作業するため、はかどらないガレキの撤去、被災を機に漁業をあきらめた高齢漁師、遺影を見るたびに「学校に迎えに行ってやれていれば娘を失うことが無かった」と涙する女性、被ばくを懸念し人工中絶を考える女性が増えている実情、自家用車を売却して費用を確保し海外から参加したボランティア、茨城県の学校の倒壊率が高かった背景に市町村合併があったこと-などが紹介された。

記者たちは、死者やガレキの量など数字だけでは伝えきれないことについて言及。「何時間でも話ができるほど取材している。あの人のことも書きたい、このことも書きたいと思うが、紙面のスペースも限られているし、読んでいただく読者の時間にも限りがある。記者も泣きながら削って書いている」「100%伝えきれたか、というとそうではないかもしれない。ただ、記事は読み手がいて成立する。読者の想像力、共感力を引き出せる記事を書きたいと思っている」と話した。さらに、「災害を自分のこととして考え、地震や津波に強い地域づくりに役立ててほしい」と呼びかけていた。

 

第2部「震災を教室でどう伝える」は、有馬進一・藤沢市立大庭中学校中学校総括教諭、深沢恵子・横浜市立本町小学校教諭、梅田比奈子・横浜市教育委員会主任指導主事の3人の特別NIEアドバイザー・NIEアドバイザーが、記者4人とディスカッション。震災直後の悲惨な記事が紙面を埋める中、子どもたちのショックを考慮して授業での扱いをアドバイザー自身が躊躇したことなどに触れながらNIE実践例を報告。教科書に「漁業日本一」と書かれている気仙沼の現状を取材しに行ったり、ボランティアに参加したりしたことを説明しながら「たくさんの情報がある中で、何を選んで伝えるか。記者にも責任があるが、私達教師にも責任がある。生徒たちと一緒に考えていきたい」と話していた。

会場からの意見を求めながら、アドバイザーや記者たちは「震災への関心が失われないよう、記事を通じて子どもたちにメッセージを発信してほしい」「ストレートニュースだけでなく連載記事もNIEに利用を」などと意見を交換していた。

参加記者は次の通り(敬称略)。

・朝日新聞社横浜総局次長     池田 孝昭

・毎日新聞社横浜支局記者     松倉 佑輔

・読売新聞社横浜支局遊軍担当記者 市川 憲司

・日本経済新聞社社会部記者    森田 淳嗣

・東京新聞 横浜支局記者      志村 彰太

・神奈川新聞社報道部記者     戸田 貴也

・共同通信社横浜支局記者         建部 佑介

・時事通信社横浜総局記者         長橋 伸知

 

公開セミナー「東日本大震災報道とNIE(教育に新聞を)」=11月12日・関東学院大KGU関内メディアセンター